| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PC-341  (Poster presentation)

アキタブキの開花フェノロジーと花の形態
Phenology and morphology of Petasites japonicus subsp. giganteus

*伊藤航介, 出口怜, 小山耕平(帯広畜産大学)
*Kosuke ITO, Ray DEGUCHI, Kohei KOYAMA(Obihiro Univ. Agr. Vet. Med.)

先行研究では、幹や枝の断面積と葉や果実の量などの間に比例関係があるという形態的にとらえたパイプモデルや、同じ種内においては種子の大きさに大きな差は生じないという繁殖に目を向けた種子サイズの一定則などといった結果が得られている。本研究では、生殖器官である花について着目し、花の形態は環境によってどのような違いが表れるかどうかを調べた。おびひろの森に自生したアキタブキを対象として、蕾(フキノトウ)の幅、フキノトウ内の頭状花の数、頭状花の平均の大きさを調べ光環境の指標となるrPPFDとの関係を解析した。その結果、より多くの光を得られる個体の方がフキノトウの幅は大きく頭状花の数が多くなっていた。この結果から、フキノトウは十分な光を得ていても、一つひとつの花を大きくするより、一定サイズの花を多く作ることに投資がおこなわれているのではないかと考えられ、これは種子サイズの一定則と同様に、花にも最適な大きさがあると考えることができる。また、この結果はパイプモデルからも考えることができ、フキノトウの場合、パイプの先端につくものがほとんど花であり、地上部の枯死部分もほぼないため、単位パイプから花の大きさも均一になるのではないかと考えられる。以上から、花においてもパイプモデルが適用できる可能性があること、種ごとに最適な花の大きさがあるのではないかということが示唆された。


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