| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PC-354 (Poster presentation)
近年、地球の二酸化炭素濃度は上昇し続けており、温暖化をはじめとする深刻な環境変動が懸念されている。この環境変動によって植物群集はどのように変化していくだろうか。
ある環境条件において、生存・成長・繁殖可能な植物種の数は無限ではなく、その環境に適した性質を持つ植物だけが定着できる。このような考え方を環境フィルタリングと呼ぶ。どのような環境にどのような種が定着できるかを知ることは、植物群集の将来予測をする上で重要である。近年、種の分布可能環境を予測する上で、葉重あたり葉面積(SLA)など、比較的測定が容易な機能形質が着目されている。機能形質は成長や繁殖に直接関連するため、機能形質の値によって環境との関連を定量的に表すことができると期待されている。これまで、多くの研究により葉形質と環境勾配との間に関係があることが示されているが、根や茎の形質と環境との関係についてはあまり知られていない。
青森県八甲田山には様々な環境を持った湿原が存在し、常緑/落葉植物・草本/木本植物と機能的に多様な植物が生育している。本研究では八甲田山系に点在する合計20の湿原を調査地とした。湿原に生息する植物の葉・茎・根を採取し、葉のSLAや茎密度、根の重さあたりの長さ(SRL)などの機能形質を測定した。本発表では、形質の器官ごとの関連性や、形質の環境依存性について発表する。