| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PC-366 (Poster presentation)
タカノツメ(Gamblea innovans Siebold et Zucc.)はZnとCdを高濃度に集積する樹木である。タカノツメがなぜ重金属を集積するのかについて内生菌が関与している可能性が示唆されている。内生菌とは植物組織内に共生する菌類や細菌類のことで宿主との関係性が不明なものが多い。一方、一部の菌では宿主に様々なストレス耐性を付与することが報告されており、重金属耐性に関する報告もある。タカノツメにおいては葉内内生菌相分析(真菌)が行われ、重金属集積に関係する性質を持つ菌が発見されている。しかしタカノツメの菌相が特異的かどうかは明らかになっていない。本研究ではタカノツメ重金属集積特性と内生菌相の関係を明らかにすることを目的とし、タカノツメと、ニッケルとコバルトを集積するリョウブ(Clethra barbinervis Sieb.et Zucc.)の内生菌相を比較することでタカノツメ内生菌相の特徴を調査し、重金属集積との関連を調べた。リョウブとタカノツメの葉と細根を季節ごとに採取し、PCR-DGGE法による内生菌相比較と植物中元素濃度分析を行った。両樹種ともにそれぞれの集積重金属を高濃度に集積していた。両樹種の葉と細根でそれぞれ共通の菌が検出され、葉の菌はColletotrichum gloeosporioidesまたはC.crassipes、細根の菌はPezicula ericaeまたはUncultured fungusの可能性が高い。これらの菌が重金属集積に関与している可能性が示唆された。さらに樹種間で菌相が異なり、内生菌相には種間差があることが示された。タカノツメ内生菌相はリョウブに比べ個体ごとの違いが大きく、内生菌相の多様性が高いことが示唆された。