| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PC-373 (Poster presentation)
半自然草原は、火入れや草刈りといった人間活動による定期的な撹乱によって形成される。既往研究では、こうした撹乱が長期間継続しておこなわれることが、草原に特有な植物群集の形成に不可欠であることが指摘されてきた。さらに半自然環境に成立する群集では、生息地の連続性や周辺の景観構造も群集の種組成に影響を与えることが示されてきた。したがって、半自然草原の植物群集は、(1)生息地における現在までの人為的管理の変化、(2)周辺の景観構造の変化の2つの要因によって形成・維持されてきたと考えられる。そこで本研究では、静岡県賀茂郡東伊豆町の半自然草原を対象として、(1)現在の人為的管理、(2)景観構造の歴史的変化の両者が草原性植物に与える影響を検証した。調査は、ラインセンサス法によって草本植物の在不在データを収集するとともに、(1)火入れや草刈りなどの人為的管理の現地確認、(2)1940年代から2010年代までの空中写真による土地利用形態の判別を実施した。これら2要因と植物群集の関係をCCAにより評価した結果、火入れ管理の有無と1964年の景観構造が、植物群集の種組成をもっともよく説明していることが明らかになった。以上の結果から、今後の草原性植物の保全に向けた管理方針を議論する。