| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PC-408  (Poster presentation)

繁殖干渉を考慮した保全策の実施―スジシマドジョウ2種の繁殖場所分割―
Relief from reproductive interference as conservation of endangered species – segregation of breeding habitat between two striated spined loaches –

*森井清仁, 北野大輔, 久岡知輝, 高倉耕一(滋賀県立大学)
*Kiyohito MORII, Daisuque KITANO, Tomoki HISAOKA, Koh-Ichi TAKAKURA(Univ. of Shiga Pref.)

繁殖干渉は種間排除などを通じて個体群動態に大きな影響を与えるため、小個体群の動態の理解が必要とされる保全生態学においても重要な現象である。しかし、これまで繁殖干渉を考慮し実施した保全策の例はなく、その効果は実証されていない。オオガタスジシマドジョウCobitis magnostriata(以下、オオガタ)とビワコガタスジシマドジョウC. minamorii minamorii (コガタ) はシマドジョウ属の淡水魚であり、絶滅危惧種IB類に指定され、両種の保全が必要とされている。オオガタとコガタはそれぞれ水路と水田で繁殖すると報告されてきたが、現在の主要な繁殖地である滋賀県高島市のビオトープ では、両種が同所的に繁殖している。その結果、オオガタからコガタへの繁殖干渉が生じ、コガタの個体群が衰退した可能性が指摘されている。本研究では、この繁殖地において両種の繁殖場所を分割し、繁殖干渉を緩和することでコガタの保全を試みた。
調査に先立つ2017年12月に、オオガタとコガタの繁殖場所を分割させる ことを目的とし、浅く高水温になる水域を新たに造設した。水路を17区画に分け、2018年の5月から7月に、両種の成魚・稚魚のすくい取り調査を行った。また、調査日前日に取水口と排水口に小型定置網を設置し、翌日に回収した。
これらの調査を通じて、オオガタの成魚383個体と稚魚783個体、コガタの成魚63個体と稚魚21個体が採捕された。オオガタの稚魚はすべての区画で採捕されたが、コガタの稚魚は新たに造設した水域を中心に採捕された。オオガタの成魚が少なかった 2015年には、コガタの稚魚は多くの区画で採捕されていたことも考え合わせると、(1) オオガタは新たに造設した高水温の水域を避けて繁殖し、(2) そのため、新たな水域ではオオガタからコガタへの繁殖干渉が緩和され、(3) コガタは新たな水域で繁殖に成功したと考えられた。


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