| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PC-420  (Poster presentation)

アカスジカスミカメのフェノロジー変化が斑点米発生に及ぼす影響
Effects for the occurrence of pecky rice by phenological changes of mirid bugs

*田村優衣, 大澤剛士(首都大学東京大学院)
*Yui TAMURA, Takeshi OSAWA(Tokyo Metropolitan Univ.)

近年の気候変動によって多くの生物のフェノロジーが変化しており、分類群ごとにフェノロジーが変化する大きさが異なることが知られている。これにより従来の生物間の関係が変化していることが示唆されているが、実証には長期間の観測データが必要なため、報告は限定的である。しかし有効積算温度が明らかになっている昆虫においては、過去の日別気象データを用いることでフェノロジーの変化の有無を示すことが可能と考えられる。そこで本研究では対象種としてアカスジカスミカメ(Stenotus rubrovittatus)を選定し、秋田県における2003年から2012年のフェノロジーの変化を検証する。今回アカスジカスミカメのフェノロジーはその発生消長とし、これを三角法を用いて明らかにする。さらに、アカスジカスミカメはイネ害虫として被害面積が最大の主要害虫として知られている斑点米カメムシ類の一種であることから、フェノロジー変化が秋田県の斑点米被害に与える影響についても検討する。アカスジカスミカメによる加害時期はイネの出穂期10日後から40日後まで続き、加害はほぼ成虫に限られている。これよりアカスジカスミカメの成虫時期とイネの出穂期10日-40日後が重なっている場合、斑点米被害が拡大すると考えられる。よって2003-2012年における2種の関係性の変化を検証することで、アカスジカスミカメのフェノロジー変化が斑点米被害に与える影響についても検証する。


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