| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PC-430 (Poster presentation)
日本に定着している外来生物のうち、2002年時点で維管束植物が1548種と最も多く、外来植物への対策は急務である。外来植物は国内の様々な地域に侵入・定着しハビタットを形成しているが、それによる生物多様性への問題がもっとも先鋭化しているのは河川域である。河川域は他の生態系と比較したとき、侵入成功した外来植物の定着および分布拡大により適した条件を備えていると考えられており、定着状況の把握と早急な対策が求められている。
外来生物の侵入メカニズムにおいて、種子供給と生育地としての環境適合性は定着の可否を決定する重要要因である。水流は河川における植物の繁殖体を供給する主要な要因であり、河川水流に起因する繁殖体の定着可能性が高まる地点は外来種侵入の危険性が高くなることが予想される。同時に植物の繁殖体が河川敷等に侵入する際、その侵入地点にもともと存在している優占種は、生育地として定着の可否を決定づける要因となりうる。
そこで本研究は、河川において特に外来種の定着が起こりやすいと予想される地点を蛇行構造の定量化に基づき検討するとともに、河川敷に既に生育している優占種植物と、侵入初期と考えられる非優占種の関係を検討することで、河川植生構造における外来種の侵入・定着を決定づけるメカニズムについて考察する。