| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PC-431  (Poster presentation)

東京都心部の緑地における樹種による暑さ緩和機能の違い
Difference in heat mitigation function among tree species in  urban green space

*松永香織, 大澤剛士(首都大学東京)
*Kaori MATSUNAGA, takeshi OSAWA(Tokyo Metropolitan University)

都市緑地が我々に提供する生態系サービスについてはこれまで様々な研究がなされている。
全国的に都市緑化が推進されたことに伴って、都市緑地から生態系サービスを得られる機会が増加してきた。一方で、これまでの都市緑化は管理面での利点から国内移入種や外来種が多く利用され、それらが分布を拡大してきた。そのため、都市の生物多様性が脅かされているが、生物多様性は持続可能な社会を築くための重要な要素となっているため、都市緑化に関しても在来種植栽の都市緑地を推奨していく必要がある。
在来種植栽には都市に生息する野生生物に対する生態学的機能を高める利点と地域特有の自然景観の姿を地域に示すことができる利点がある。しかし、これらの利点だけでは国内移入種や外来種の利点と比較した際、管理面での不利を補うことができなかったため、これまで在来種の樹木は都市緑地にあまり利用されてこなかった。そこで、未だ明らかにされていない在来種植栽の利点を明らかにすることができれば、在来種植栽の都市緑地を推奨する材料となるため、管理面での不利を補うことにつながると考えた。そして本研究では、都市緑地が我々に提供する生態系サービスの1つである温度低減効果の機能に着目した。調査対象地を東京都千代田区にある日比谷公園周辺1㎞四方として、都市緑地の構成樹種と温度の関係性を明らかにすることで、在来種植栽の都市緑地の方が温度低減効果の機能がより発揮されるという仮説を検証した。結果として、在来種の方が温度低減効果をより発揮するという仮説は支持された。これにより、未だ明らかにされていなかった在来種植栽の利点が一つ明らかになったため、在来種植栽の都市緑化の推進に貢献できる結果が得られた。


日本生態学会