| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-PD-447  (Poster presentation)

太平洋沿岸における潮間帯の外来固着生物: 16年間の分布変化と侵入成功に影響する要因
Rocky intertidal alien sessile organisms on the Pacific coast of Japan: Sixteen-year changes in distribution and factors affecting invasion success

*小林由佳理(北大 環境科学院), 野田隆史(北海道大学), 仲岡雅裕(北海道大学), 山本智子(鹿児島大学), 奥田武弘(水産機構国際水研), 堀正和(水産研究・教育機構), 金森由妃(中央水研)
*Yukari KOBAYASHI(GSES, Hokkaido Univ.), Takashi NODA(Hokkaido Univ.), Masahiro NAKAOKA(Hokkaido Univ.), Tomoko YAMAMOTO(Kagoshima Univ.), Takehiro OKUDA(NRIFSF), Masakazu HORI(NRFEIS, FRA), Yuki KANAMORI(NRIFS, FRA)

【背景】外来種の侵入成功に影響する複数の要因を同時に含めた研究は、特に海洋生態系においてほとんど行われていない。また、日本の自然海岸での固着生物群集における外来種の侵入ステータスについての研究はまだない。本研究では、自然海岸での岩礁潮間帯固着生物群集を対象に、日本太平洋沿岸の6地域(親潮域:道東、道南、三陸、黒潮域:房総、南紀、大隅)で、①生物相の中での外来種の優占度(種数と生物量)、②外来種各種の分布とアバンダンス、について2003-2018年の経年変化を明らかにし、③外来種の侵入成功に影響する要因も評価した。

【材料と方法】調査期間の6地域の各5海岸、各2-5岩礁において、固定調査区内の各固着生物の被度と存否を求め、得られたデータから上記の目的①~③のための解析を行った。

【結果と考察】生物相の中での外来種の優占度(種数と生物量)はすべての地域で比較的低かったが(< 10%)、外来種はこの16年間で親潮域では黒潮域よりも多く、増加傾向があった。侵入成功は、節足動物と太平洋原産の種がそれぞれ軟体動物と大西洋原産の種より高く、侵入先地域と原産分布域の水温中央値差と在来群集バイオマスが小さいほど高くなった。
 以上の結果の背景にあるメカニズムの解明は、太平洋沿岸における海洋侵入の防止と海洋生態系の保全に役立つだろう。


日本生態学会