| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-PD-460 (Poster presentation)
ナルトサワギク(Senecio madagascariensis Poiret.)は南アフリカおよびマダガスカル原産,キク科キオン属の一年生もしくは多年生草本である。1976年に徳島県鳴門市で初確認されて以来,その後も同県周辺の香川県や和歌山県において,現在では福島県や鹿児島県でも確認されている。しかし,ナルトサワギクの生態的特性についての研究は乏しく,とりわけ2005年の特定外来生物指定後はほとんどない。
一方,福岡県では,2015年に雁ノ巣海岸で初めてナルトサワギクが確認されている。本研究では,同種の生態的特性にさらなる知見を加えるため,福岡県で新たに確認されたナルトサワギクから得られた成果について報告する。なお,本研究は外来生物法第5条に基づき環境省より許可を得て行われた(許可番号18000109)。
結果は次のとおりであった。福岡県雁ノ巣海岸のナルトサワギクは,一年をとおして開花・結実することが確認され,これは既往の成果と一致した。これらの種子は,一年をとおして発芽し,その発芽率は高温条件(25℃-35℃)よりも低温条件(5℃-15℃)および中温条件(15℃-25℃)で高くなった。また,これらは明条件より暗条件で低くなるが,暗条件の種子を明条件に変更すると発芽率は再び上昇した。発芽後の実生は60日ほどで開花そして結実し,これらの種子は高い発芽能力を有していることも確認された。