| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-009  (Poster presentation)

淀川点野ワンドと庭窪ワンドにおける魚類相の比較
Difference of fish fauna between Shimeno wando and Niwakubo wando in the Yodo River

*石田裕子(摂南大学), 水田啓介(摂南大学), 山本義彦(大阪環農水研・多様性)
*Yuko ISHIDA(Setsunan University), Keisuke MIZUTA(Setsunan University), Yoshihiko YAMAMOTO(Biodiv. C. Osaka)

 現在の淀川のワンドは、蒸気船の航路確保のために整備された水制工に長い年月の末、土砂が堆積した上に植物が生育し形成された。ワンドには独自の生態系が成り立っており、イタセンパラをはじめとした水生生物の生息場所として重要である。しかし、治水等の目的のため、戦後の度重なる河川改修により、130個を超えていたワンドは半分以下に減少した。また、淀川大堰による水位の安定化や、外来生物の分布などが在来生態系に悪影響を与えている。現在、淀川河川事務所によるワンド倍増化計画や、イタセンパラ保全市民ネットワークによる外来魚駆除活動や河川清掃など、ワンド環境を改善し在来生態系の保全の取り組みが進められている。今後、点野地区では、低水敷の砂州にワンドを整備する計画が予定されている。庭窪地区では、将来のイタセンパラの再導入にむけて、外来魚駆除活動等が行われている。
 本研究では、将来の淀川の生態系保全に資するデータとするため、点野地区と庭窪地区のワンドで魚類調査を実施し、その種組成を比較した。調査は、各地区で代表的なワンドを1つずつ選定し、2018年と2019年に春、夏、秋の3回、地曳網を用いて魚類採集を行った。
 点野ワンドは開口部が淀川本川と広くつながっており、比較的流水性のワンドである。一方の庭窪ワンドは、開口部が狭く、水深も大きく河床は泥質である。全体の個体数は、庭窪ワンドで多かった。点野ワンドでは、流水を好むオイカワや砂地に生息するカマツカなどが多く見られた。庭窪ワンドでは、モツゴが多かった。どちらのワンドでも、コウライモロコやコウライニゴイが多く確認された。オオクチバスとブルーギルはどちらのワンドでも見られたが、特に庭窪ワンドで多く見られ、ブルーギルは優占種であった。点野地区の新設ワンドではチャネルキャットフィッシュも確認されたことから、これらの地区のワンドで今後も引き続きモニタリングすることが必要である。


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