| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-026  (Poster presentation)

コクヌストモドキの死にまねに対する人為選抜が呼吸量に及ぼす影響
Effects of artificial selection for death feigning on metabolic rate in red flour beetle

*松村健太郎(岡山大学院・環境生命), Manmohan SHARMA(University of Exeter), 野田智仁(エクセター大学), 宮竹貴久(岡山大学院・環境生命), David HOSKEN(University of Exeter)
*Kentarou MATSUMURA(Okayama University), Manmohan SHARMA(University of Exeter), Tomohito NODA(University of Exeter), Takahisa MIYATAKE(Okayama University), David HOSKEN(University of Exeter)

動物の行動はしばしばその他の形質と相関しており、特に呼吸量(代謝率)との関係性については多くの先行研究がある。先行研究では、被食者の捕食回避行動としての死にまね行動が安静時の代謝率(resting metabolic rate: RMR)と負の相関関係であることが明らかにされた。しかしながら、その関係性に遺伝的基盤が存在するのかどうかは不明であった。そこで、本研究ではコクヌストモドキを用いて、遺伝的に死にまね行動の持続時間(死にまね時間)が異なる選抜系統間でRMRが異なるのかどうかを調査した。その結果、死にまね時間の短い系統は長い系統よりも活動的ではあるが、RMRは系統間で差が無いことが明らかになった。この結果は、本種の死にまね行動とRMRは相関しておらず、死にまね行動への選択圧にRMRは反応しないことを示唆している。活動量では系統間差が見られたが、数多くの先行研究は活動量とRMRは正の相関関係であると報告しているため、コクヌストモドキにおけるRMRと行動の関係性は、その他の動物種におけるものとは異なるのかもしれない。


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