| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PA-026 (Poster presentation)
動物の行動はしばしばその他の形質と相関しており、特に呼吸量(代謝率)との関係性については多くの先行研究がある。先行研究では、被食者の捕食回避行動としての死にまね行動が安静時の代謝率(resting metabolic rate: RMR)と負の相関関係であることが明らかにされた。しかしながら、その関係性に遺伝的基盤が存在するのかどうかは不明であった。そこで、本研究ではコクヌストモドキを用いて、遺伝的に死にまね行動の持続時間(死にまね時間)が異なる選抜系統間でRMRが異なるのかどうかを調査した。その結果、死にまね時間の短い系統は長い系統よりも活動的ではあるが、RMRは系統間で差が無いことが明らかになった。この結果は、本種の死にまね行動とRMRは相関しておらず、死にまね行動への選択圧にRMRは反応しないことを示唆している。活動量では系統間差が見られたが、数多くの先行研究は活動量とRMRは正の相関関係であると報告しているため、コクヌストモドキにおけるRMRと行動の関係性は、その他の動物種におけるものとは異なるのかもしれない。