| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-056  (Poster presentation)

鉄道駅の乗降客数が駅舎へのツバメの営巣に及ぼす正の影響 【B】
Positive Effect to breeding of Barn Swallow (Hirundo rustica) by number of passengers in railroad station buildings 【B】

*渡辺仁(東京生物多様性セ, 首都大学東京大学院), 徳江義宏(日本工営(株)), 大澤剛士(首都大学東京大学院)
*Hitoshi WATANABE(Tokyo Biodiversity Center, Tokyo Metropolitan University), Yoshihiro TOKUE(Nippon Koei Co.,Ltd.), Takeshi OSAWA(Tokyo Metropolitan University)

 人間活動により生物へ様々な影響があることはよく知られているが、その中でも生息・生育環境の破壊は、生物多様性の主要な損失要因である。対照的に、複数の研究により、人間活動によって直接的または間接的に作り出された生息・生育環境を利用している生物がいる事が報告されている。
 このような人間による生物への影響についての研究は、生息・生育環境の破壊や創出の観点で行われている事が多く、人間の往来や存在が生物に対してどのような影響を及ぼすかの事例を研究した例、特に正の影響を及ぼす事例についての研究例はほとんどない。人間の往来や存在が生物にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることは、人間と生物多様性との関係を明らかにする上で欠かすことができないと考えられる。
 演者は、身近な生物であるツバメ(Hirundo rustica)の鉄道駅舎への営巣状況を研究対象として選定した。 先行研究では、経年的なツバメの営巣状況の調査結果から、人間の往来(歩行者数)の増減が営巣数の増減と正の相関をしているとの報告がある。しかし、ツバメの営巣ハビタットの条件を調整した上で、人間の往来や存在の影響について定量的に解析した例はない。
 本発表では、2013年に市民参加型調査により取得された関東地方の1,757駅のツバメの鉄道駅舎への営巣状況の調査結果を活用し、駅舎周辺の景観構造や駅舎規模などの営巣ハビタットの特性を調整した上で、乗降客数がツバメの営巣に及ぼす影響を定量的に検討する。


日本生態学会