| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-095  (Poster presentation)

夜間温度が植物の生長に与える影響
Does night temperature affect plant growth?

*澤上航一郎, 舘野正樹(東大院理・日光植物園)
*Koichiro SAWAKAMI, Masaki TATENO(University of Tokyo)

計算機の性能が上がるにつれ、地球環境や植物の生長予測をする研究も一般的になった。植物の生長を考える際には最適な環境で栽培されたものや、野外で測定されたデータなど、様々なものが用いられる。夜間温度が植物の生長に与える影響については古い研究が多く、葉の呼吸速度から推定されることも多い。本研究では、夜間温度の異なる環境で栽培した植物の生長に違いがあるのかどうかを確認した。アブラナ科草本植物のハダイコン、コマツナ、フユナを鹿沼土で満たしたプラスチックポットに4粒播種し、十分に水を与え、培養器により温度25℃、湿度70%の環境に3日間保ち発芽させた。発芽した植物を夜間温度25℃の系と15℃の系に分け、明暗周期14:10、ハイポネックス1000倍希釈液を毎朝十分に与えて3週間栽培し、植物の乾燥重量を測定した。1週間毎に半分の個体を間引き、最終的にはポットあたり1個体になるよう栽培した。培養器の設定を入れ替えて各1回行った。昼夜25℃で栽培したハダイコン、コマツナ、フユナはそれぞれ1回目が2.65g、1.69g、1.75g、2回目が2.00g、1.52g、1.46gだった。夜間15℃で栽培したものはそれぞれ1回目が2.12g、1.21g、1.35g、2回目が2.52g、1.63g、2.05gだった。1回目は昼夜25℃の植物体の生長が良く、2回目は夜間15℃の生長が良い結果になり、夜間温度よりも培養器の環境により生長に差が出たことが示唆された。培養器は同型のものを用いたが、庫内の風速には体感で違いが感じられ、風速が生長に影響した可能性がある。光合成速度は栽培中各1回しか測定していないものの、それぞれ25℃個体が15℃個体よりも葉温度25℃下で高く、LMAは全体を通して15℃栽培個体が高い傾向があったが、結果的に乾燥重量において夜間温度が植物の生長に影響を与える影響はごく小さかった。


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