| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PA-112 (Poster presentation)
タイの代表的なタイプの森林に、乾燥フタバガキ林(Dry Dipterocarp Forest, DDF)がある。DDFは、主に樹高10m程度の落葉性フタバガキ科樹木(Shorea siamensis, Shorea obutusa)で構成される疎な森林で、丘のすそなど傾斜地に多く見られる。タイ林野庁による2002年の統計資料では、DDFはタイ全国の自然林の約1割を占めるとされている。
タイの低地林では乾季に火災が多く発生している。タイ東北地方、ナコンラチャシマ県に位置するタイ科学技術研究院サケラート環境ステーション内(14.51°N, 101.95°E)および周辺に存在するDDFでも同様に、ほぼ毎年、乾季の1~3月に火災が発生している。
このサケラートのDDFにおいて繰り返し発生する火災が当該森林に及ぼす影響やその役割を調べることを目的として、人為的に火災を発生させ、その前後の樹木生理や物質循環の変化を測定する実験を実施している。本発表では、2018年12月に行った1回目の火災実験について、その概要と、火災発生中の気温や燃焼したバイオマス量、景観の変化など、発生した火災自体の基本的な指標の観測結果を示す。