| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PA-117  (Poster presentation)

直径2mm以下の細根系における低次根形態の分岐発生位置による違い
Morphological traits of lower order root at different branch position within fine root system up to 2 mm in diameter

*土居龍成(名古屋大学環境学), 谷川東子(名古屋大学生命農学), 吉田厳(名古屋大学環境学), 西村澪(名古屋大学環境学), 平野恭弘(名古屋大学環境学)
*Ryusei DOI(Nagoya Univ. Env.), Toko TANIKAWA(Nagoya Univ. Bioagr.), Gen YOSHIDA(Nagoya Univ. Env.), Rei NISHIMURA(Nagoya Univ. Env.), Yasuhiro HIRANO(Nagoya Univ. Env.)

直径2 mm以下の根と定義される樹木細根は、土壌中の養水分の吸収・輸送機能を持つ。これまで細根に関する多くの研究には直径階級による分類が用いられ、世界中の細根量データが蓄積されている。近年、直径階級よりも機能を反映した次数分類(末端根を1次根、1次根同士の接合点からの根を2次根)が着目されている。細根の吸収機能は次数が下がるほど高くなるのに対して、輸送機能は次数が上がるほど高くなる。しかし、次数は末端から1, 2, 3と順次に上がるわけではない。例えば、5次根から直接出た3次根系の次数の上がり方は1, 2, 3, 5となる。このように高次の根から直接出た根系と次数が順次上がった根系とでは分岐発生の仕方が異なり、機能が異なることが考えられる。本研究では吸収機能が高い根端である1次根から4次根までの細根系に着目した。4次根の発生位置には、5次根から2つの4次根に分かれた地点、5次根以上の根の途中から出る地点が考えられる。本研究の目的は、根端から直径2 mmに至るまでの1つの細根系内において、分岐発生位置の異なる4次根系の形態が変動するかを明らかにすることとした。
 本研究は117年生のヒノキ林にて行われた。10 m×20 mプロット内のヒノキ4個体の樹幹から1, 3 m地点において無傷完全な根端から直径2 mmに至るまでの細根系を採取した。各細根系から完全な4次根系を取り出し、次数に分け、形態特性(平均直径、根長)を測定した。また、乾重を測定し、比根長SRL(根長/乾重)を算出した。
 本発表では、異なる分岐位置から発生した4次根系について、1次根から4次根までの形態特性を比較した結果及びその要因を発表する。


日本生態学会