| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PB-185  (Poster presentation)

MIG-seq法を用いた日本産低地性2倍体タンポポ全種の集団遺伝学的解析
Population genetics of Japanese diploid dandelions based on MIG-seq

*満行知花(高知大学), 渡邊幹男(愛知教育大学), 陶山佳久(東北大学)
*Chika MITSUYUKI(Kochi Univ.), Mikio WATANABE(Aichi University of Education), Yoshihisa SUYAMA(Tohoku Univ.)

日本に生育する低地性2倍体タンポポは、シナノタンポポ、カントウタンポポ、トウカイタンポポ、セイタカタンポポ、カンサイタンポポ、オキタンポポの6つに分けられる。しかし形態の地理的変異は連続的で、典型的な形態を持つ集団の間には、幅広く移行的な集団が存在する。日本産低地性2倍体タンポポの集団遺伝学的構造を明らかにするには、それぞれの分類群について典型的な集団を複数選び、多数マーカーによる遺伝子型解析を行うことが有効である。そこで、これまでに発表したカンサイタンポポ(福岡、大阪)、セイタカタンポポ(滋賀)、トウカイタンポポ(静岡)、カントウタンポポ(神奈川、栃木)のMIG-seq解析結果に、新たにシナノタンポポ(長野、新潟)、セイタカタンポポ(福井)、オキタンポポ(島根, 隠岐島固有種)を加えて全ての分類群の典型的集団を網羅し、またセイタカタンポポ−トウカイタンポポの移行帯として名古屋の集団を加えて、合計11集団、各集団30個体のMIG-seqデータを用いた集団遺伝学的解析を行った。得られた798遺伝子座の主成分分析の結果、第一主成分でカンサイタンポポが、第二主成分でオキタンポポが明瞭に分化していた。また、カンサイタンポポ、オキタンポポを除く主成分分析ではその他の分類群もそれぞれ分化していた。遺伝的集団構造解析(STRUCTURE)ではΔKの値がK=2、次にK=6で高くなり、K=6ではそれぞれの分類群が固有の遺伝的要素で表され、遺伝的に分化していた。セイタカタンポポ−トウカイタンポポの移行帯である名古屋の集団は主成分分析の結果、セイタカタンポポとトウカイタンポポの中間に位置していた。STRUCTURE解析では、K=7までセイタカタンポポとトウカイタンポポの遺伝的要素で表されたが、K=8以上では、セイタカタンポポ特有の遺伝的要素と、名古屋の集団特有の遺伝的要素で表された。


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