| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PB-193 (Poster presentation)
モンゴルは国土の約8割がステップ草原であり、その大部分が家畜の牧草地として利用されている。しかしながら、近年では家畜頭数の増加による植生劣化が大きな問題となっている。アーバスキュラー菌根(AM)菌は多くの植物と共生し、草原生態系においても植物の定着や維持に重要な役割を果たしている。これまでのモンゴル草原における調査から、植物根と土壌の双方において、植生の変化にともなうAM菌群集の変化が認められているが、根と土壌のAM菌を比較して家畜による攪乱の影響を評価した研究は限られている。本研究では、土壌と根のAM菌群集を比較するとともに、直接的に影響する要因やそれぞれのAM菌群集の構造的な変化に基づく影響評価を行うことで、さらに詳細な家畜のAM菌への影響、そして影響評価の指標としてのAM菌の利用可能性を探ることを目的とした。AM菌群集に関するNMDS解析を行ったところ、土と根、そして家畜による攪乱の程度によってAM菌群集が異なることが分かった。しかしながら、土と根のAM菌群集は高い相関関係を持っていた。家畜の影響がAM菌群集を変化させる直接的な要因を偏マンテル検定によって解析したところ、降水量が少ないサイトでは被食によるAM性植物のバイオマスや種数の減少が強く影響していた。しかしながら、主な影響する要因は降水量が異なるサイト間で異なり、これは被食を受けた後の植生の応答が異なるためと考えられた。