| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PB-196 (Poster presentation)
植物は多種多様の微生物と相互作用の関係にあり、複雑な生態系ネットワークを形成している。その中でも、植物組織内に住む内生菌はあらゆる植物種と共生でき、様々な環境ストレスに対する植物の耐性を向上させることが知られている。また、培養や接種が容易であることから、生物農薬への応用性が期待されており、持続可能な社会を達成する上で重要な研究対象である。実用化のためには野外でいかに接種菌を安定的に植物と共生させ、異なる病原菌や環境ストレスに耐性を持たせるかが重要な課題であり、微生物ネットワークの中核となるような種の接種や、複数の有益な内生菌の接種が有効だと考えられるが、先行研究の多くは内生菌の単独接種実験がほとんどである。私たちは複数種の内生菌の組み合わせによる植物の生育の違いや定着率の分析を試みており、今回の発表では、私たちが注目する内生菌3種を用いて行った接種実験の結果を報告する。
内生菌は主に真菌と細菌に分けられるが、私たちは特に植物根内部から単離された内生真菌に注目し、植物への接種実験を行なっている。3種内生真菌について菌糸液を土に混ぜて資材を作り、これを混ぜた培養土に表面殺菌した種子を播種した。25˚C、12L12Dで育成後、生育の指標として発芽率、葉数、葉長を計測し比較したところ、コマツナとトマトにおいて3種それぞれの接種株の生育促進が認められた。また、接種実験において育成中にキノコバエが発生し、この幼虫による食害があった。この実験では接種株によって生育に違いが見られたため、内生菌接種による食害への影響も示唆された。