| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-203  (Poster presentation)

冷温帯二次林の39年間の動態 【B】
Stand dynamics over 39 years in a cool-temperate secondary forest 【B】

*山﨑理正(京大院・農), 安藤信(公財・阪本奨学会)
*Michimasa YAMASAKI(Grad. Sch. Agric., Kyoto Univ.), Makoto ANDO(Sakamoto Schlp. Fndn.)

京都府北東部の高層湿原八丁平は、ミズナラとクリが優占する二次林に囲まれている。ここでは植生の異なる13個のプロット(20m×20m)が谷部、斜面部、尾根部に設置されている。1980年より3年毎の毎木調査が継続されており、2019年に39年目14回目の調査を行った。調査地では2008年よりナラ枯れが発生し、多くのミズナラが被害を受けた。また、2018年には台風21号の影響で多くの倒木が発生した。本研究では、各プロットの胸高断面積割合の変化から、これら攪乱の影響を明らかにすることを目的とした。各調査年の各樹種の胸高断面積合計をプロット単位で集計し、非計量多次元尺度構成法(NMDS)を利用して種構成の変化を序列化した。推定された1軸、2軸の座標変化(軌跡)について、trajectory analysis(De Cáceres et al., 2019)を行い、群集構造の変遷を数値化した。軌跡を1984〜1995年(1期)、1996〜2007年(2期)、2008〜2019年(3期)に分けて、各期の谷・斜面・尾根プロットについて trajectory length(軌跡の距離)、trajectory angle(軌跡の変化角度)、directionality(軌跡の方向性)を計算した。
3期は1期・2期と比べると、trajectory length は長く、trajectory angle は大きくなる傾向があり、ナラ枯れと台風被害があった3期の変化が1期・2期とは異なるものだったことが示唆された。0から1の値を取り1に近づくほど安定的な遷移を示す directionality は、3期の谷と尾根で低い値を取り、谷部での台風の影響と尾根部でのナラ枯れの影響が明確に示された。


日本生態学会