| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-219  (Poster presentation)

植生図更新の基礎としてのローカルスケールでの植生変化
Local scale vegetation change as a basis of a vegetation mapping

*藤原道郎(兵庫県大院緑環境景観, 淡路景観園芸学校)
*Michiro FUJIHARA(Univ. Hyogo, Landscape D&M, Awaji Landscape P. & H.)

自然環境保全基礎調査における25,000分の1植生図は,日本の全国レベルでの植生の現状を面的に示すものとしての整備が進んでいるが,地域レベルでの具体的な自然環境の変化を知るための基盤でもある.変化を示すための比較的身近い期間での更新が必要であり,植生図更新の効率化も求められている.また,様々なレベルの植生図利用者に対する分かりやすさも求められている.そこで,植生図更新の基礎としてのローカルスケールでの植生変化として,具体の地域における植生変化をどのように示すことでできるかの検討を行った.
対象地は兵庫県淡路島とし,環境省25000分1植生図の森林植生に該当する凡例を抽出し,現地調査および植生パッチの隣接関係を参考に最上層の優占種,植生変化の傾向と植生図凡例の関係を検討した.
淡路島における凡例は43凡例あるが,森林植生は20タイプであった.落葉広葉樹林としては代償植生であるアベマキ-コナラ群集が面積比14.1%,パッチ数比12.2%と広く分布し,優占種としてもコナラ林として区分された.常緑広葉樹林の自然植生であるアカガシ群落はアカガシ優占林として山頂部という分布の特徴があった.カナメモチ-コジイ群集およびミミズバイ-スダジイ群集は社寺林として残存しており,既存の位置情報をもとに判断することが妥当と考えられた.常緑広葉樹林の代償植生としてはシイ・カシ二次林とウバメガシ二次林であり,優占種の違いとして把握できるものであった.アカマツ優占林ではモチツツジ-アカマツ群集がアカマツ優占林の面積,パッチ数ともに95.1%を占めており,概ね優占種での区分で対応可能と考えられた.植生変化としてはマツ枯れ後の変化および竹林の拡大が顕著であるが,ともに優占種の変化としてとらえることが可能と考えられた.本研究は,平成31年度科学研究費「AIを用いた全国規模の群落レベルの時空間的変化を表現する植生図化と予測モデル構築」の一部を用いて実施された.


日本生態学会