| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PC-221 (Poster presentation)
植物社会学とリモートセンシングの融合は、植生図作成におけるリモートセンシング利用の課題である。本研究では、LARS(low altitude remote sensing)とエキスパートナレッジを併用した植物社会学的植生図の作成技術を開発することを目的とした。宝が池公園(京都市左京区)の森林(以下、宝が池の森)を調査対象とした。2019年6月21日から23日にかけて74地点で群落組成調査を実施した。宝が池の森の現存植生を勘案し、落葉樹の落葉が最も進む3月とツブラジイが開花する5月にUAVを使い空撮した。3月の空撮では近赤外線センサーも使い撮影した。植生分類体系を参照し表操作を行った結果、アカマツ-コバノミツバツツジ群落、コナラ-アベマキ群落、ツブラジイ群落、スギ-ヒノキ群落の4群落に分類された。さらに、アカマツ-コバノミツバツツジ群落は3つの下位単位と1つの移行帯、コナラ-アベマキ群落は2つの下位単位に分類された。群落組成調査結果をもとに、オルソモザイク画像、CHM(canopy height model)、NDVI(normalized difference vegetation index)、アカマツの密度を使い群落境界を作成した。アカマツの密度はLARSで得られる高空間分解能画像に深層学習による画像分類を応用することで算出した。CHMは、LARSと京都市のデジタルマッピングデータから作成した。本研究で開発した方法は、UAVの適時性を活かした2回の撮影、植生の解析に有用な近赤外線センサーの利用により、低コストかつ短期間で群落境界を作成することができ、従来の目視判読による方法より客観性や再現性が高い。