| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-222  (Poster presentation)

淡路島におけるナラ枯れ侵入初期2年間の枯損木の分布
Distribution change of Japanese oak wilt in Awaji island during two years of early invasion stage

*澤田佳宏, 藤原道郎(兵庫県大/淡路景観)
*Yoshihiro SAWADA, Michiro FUJIHARA(Univ. of Hyogo / ALPHA)

 カシノナガキクイムシによって伝播されるブナ科樹木萎凋病による枯損(ナラ枯れ)は、淡路島では2018年の夏に初めて確認された。演者らが2018年に島の北部(淡路市・志筑-尾崎以北)で主要道からの探索を行ったところ、枯損木の発生範囲は島北端部の2カ所に限定されていた。また、兵庫県農政環境部によると、同年に島の南部(南あわじ市)でもナラ枯れが確認されていた。このことから、淡路島ではほぼ同じ時期に明石海峡と鳴門海峡からそれぞれ別個体群のカシノナガキクイムシが侵入したことが推察される。島内には天然記念物に指定された社叢アカガシ林などが数カ所にあり、ナラ枯れの広がりを把握していく必要がある。そこで、本研究では、ナラ枯れ初認から1年後に枯損被害がどの程度広がっているのかを把握することを目的として、現地調査を行った。
 調査は、2019年8月から9月にかけて実施し、淡路島全域を対象とした。島内の国道および県道を車でくまなく走行し、コナラやウバメガシなどのブナ科植物の枯損木が確認された場合は写真撮影と位置の記録を行った。記録された位置情報は3次メッシュ単位で計数した。
 調査の結果、ナラ枯れ初認の1年後には枯損木は島内に広く分布しており、約90メッシュで確認された。島の北部3分の1を占める淡路市ではほぼ全域で確認された。島の中央部3分の1を占める洲本市では、東部(大阪湾側)のみに見られ、西部(播磨灘側)では確認されなかった。東部の枯損木は淡路市から連続的であった。島の南部3分の1を占める南あわじ市では、主に南西の沿岸部(鳴門海峡付近)に集中しており、南あわじ市から洲本市に横たわる諭鶴羽山地では、西端と東端でナラ枯れは見られたが、中央部ではほとんど見られず、淡路市・洲本市とはおおむね不連続であった。今回の発表では、これらの分布図を示し、地形や植生との関連について検討を行う。


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