| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PC-229 (Poster presentation)
地球上においてかつてない勢いで拡大する都市は、生物多様性を脅かす最大の原因の一つとされている。しかし都市生態系は、特有の生物多様性を有するだけでなく、人々に多様な恩恵を与えており、都市における生物多様性の保全は生物だけでなく人間の生活を支えるという意味からも重要である。
都市生態系においては、残存する生息地だけでなく土地改変後に造成された生息地においても生物多様性を保全することが重要である。しかし、造成された生息地では、生息地内の多様性のみを考慮した生態系復元や競争優位種・成長の早い種などの偏った播種が行われることで、造成された生息地間の群集が均質化することが危惧されている。一方、都市における群集の均質化に関する研究は、外来種の増加や生息地の分断に伴う移動能力の高い種の優占、草刈りなどの人為的攪乱強度の増加に伴う攪乱依存種の優占など、都市環境に対応した種が優占することに関する議論がほとんどであり、造成などの過去の土地改変による影響についての議論が行われておらず、都市化による群集の均質化を過小に評価している可能性が高い。
本研究では、都市化に伴う群集の均質化の土地改変による変容を明らかにするため、世界最大の都市人口を誇る東京大都市圏を対象に、都市化率の異なる3地域(都市中心部・郊外部・農村部)の分断された生息地(計55地点)において植物の調査を実施した。各生息地の土地改変を明らかにするために、航空写真を用いて土地改変からの年数を算出した。これらから、各地域における生物群集が土地改変からの年数によりどのように変化するのかを様々なスケールで明らかにした上で、造成された生息地における生物多様性の保全に関する議論をしたい。