| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-302  (Poster presentation)

リンゴ園における草生栽培がミミズ群集に及ぼす影響
Effects of weed mulching on earthworm community in apple orchard

*金田哲(農研機構 西日本農研), 池田紘士(弘前大学), 舟山健(秋田県果樹試験場)
*Satoshi KANEDA(WARC NARO), Hiroshi IKEDA(Hirosaki Univ.), Ken FUNAYAMA(Akita Fruit-Tree Exp. Stat.)

草生栽培は害虫の天敵温存効果や有機物補給効果などがあることが知られている。有機物はミミズにとって餌になることから、草生栽培はミミズの生息密度を高める効果があると考えられる。ミミズは団粒形成や栄養塩循環を促進することから、農地でのミミズの活用は化学肥料の投入量を減らすことで持続的農業生産に有効と考えられる。そこで、リンゴ園で草生栽培がミミズ群集に及ぼす影響を調べるため、秋田県横手市において圃場試験を行った。処理区は4月にシロクローバーを播種し8月末まで除草しない草生区と定期的に草刈や除草剤を散布する慣行区と比較した。ミミズの生息密度調査は夏と秋の年に2回、2年連続で調査した。また、表層5cmの土壌pHや含水率を測定した。その結果、草生区と慣行区との間に有意な差は見られなかった。一方で処理内で生息密度のばらつきが高いことから、土壌含水率や土壌pHと生息密度の関係を評価した。その結果、秋採取の草生区以外では、土壌の酸性が高くなるにつれて生息密度が低下する関係が得られた。調査圃場の1ヶ所から土壌を採取し、土壌のpHを4、5、6、6.5の4段階に調整しサクラミミズを4週間培養し土壌pHと成長量の関係を評価した。その結果pH4において他のpHよりも成長量が低下した。草生栽培と土壌pHがミミズの生息密度に及ぼす影響を解析した結果、夏において草生栽培を行うことでミミズの生息密度が増加する傾向があった。


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