| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PC-307 (Poster presentation)
環境DNAを用いた脊椎動物などの大型生物の分布調査手法が急速に発展している。さらに、微生物を対象とした環境DNA分析はすでに30年近い歴史を持ち、大型生物を対象とした分析と合わせると、環境DNAを用いることであらゆる生物種の分布状況が明らかにできるということになる。近年、このような環境DNA分析の特徴を利用して、病原体と宿主の関係を推定し感染症の生態に迫ろうとする試みが少しづつ報告されるようになってきた。そこで、感染症生態の研究ツールとしての環境DNA分析について、どのような目的で使える可能性があるかについて整理し、それぞれについて事例を紹介する。第一に、病原体の検出によるリスクマップの作成の例としてケニアにおける住血吸虫の観測事例を、第二に病原体と宿主の出会いの場を予測する例としてラオスにおけるタイ肝吸虫の事例を、第三に病原体の自然宿主を推定する例として沖縄におけるレプトスピラの事例を紹介する。このような事例に基づき、環境DNA分析技術の感染症生態学への応用について議論する。