| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PC-343 (Poster presentation)
環境省RDBで絶滅危惧Ⅱ類に位置づけられている礫河原固有種のカワラノギクAster kantoensis Kitamuraは、鬼怒川水系、多摩川水系、相模川水系に分布している。2019年10月12日の台風19号ハビギスによる大規模な出水によってカワラノギクの個体群は大きな打撃を受けた。多摩川水系では、河川敷に位置した6つの個体群のうち、3つが消失し、3つが重大な影響を受けた。堤内地に人工的に作られた個体群2つは影響を受けなかった。鬼怒川水系では、5つの個体群のうち、1つが消失した。堤内地に人工的に作られた個体群1つは影響を受けなかった。相模川水系では、12の個体群のうち、3つが消失し、3つが重大な影響を受けた。
2019年10月12日の最高水位と冬季の水位は、多摩川の日野橋で、3.50m、-1.40m、鬼怒川の宝積寺(下)で、3.81m、0.09m、相模川の神川橋で、8.24m、0.79mであった。
多摩川ではカワラノギクプロジェクトや府中市環境塾によって個体群の再生が準備されている。堤内地の人工的な個体群が存続していることから、これまで保全団体の市民からは望まれていなかったex situの保全、すなわち「保険の意味で」堤内地の人工的な個体群を作っておくことにも絶滅を防ぐ意義があると考えられる。