| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-379  (Poster presentation)

自動撮影カメラ・痕跡情報・狩猟報告に基づくシカ・イノシシの空間密度分布推定
Spatial estimation of sika deer and wild boar population densities based on camera-trappings, activity signs, and hunting records

*高木俊(兵庫県立大学), 東出大志(兵庫県立大学), 栗山武夫(兵庫県立大学), 中島啓裕(日本大学), 深澤圭太(国立環境研究所), 横山真弓(兵庫県立大学)
*Shun TAKAGI(Univ. of Hyogo), Daishi HIGASHIDE(Univ. of Hyogo), Takeo KURIYAMA(Univ. of Hyogo), Yoshihiro NAKASHIMA(Nihon Univ.), Keita FUKASAWA(NIES), Mayumi YOKOYAMA(Univ. of Hyogo)

都道府県では特定鳥獣管理計画に基づいてシカやイノシシの個体群管理を進めているが、その際に分布範囲や密度の濃淡といった、空間的な生息状況の把握は、どこで重点的に管理を進めるかを判断する上での基盤的情報となる。ニホンジカの密度(個体数)推定には、捕獲と密度指標(例:糞塊密度)の変化から推定を行うHarvest-based estimationが用いられる事例が増えているが、この推定にはユニット(5km メッシュなど)単位での捕獲情報と密度指標を経年的に収集、分析する必要がある。そのため、多様な捕獲事業に基づくデータを一元的に管理する必要があるが、都道府県が独自の調査研究機関を有している場合を除いて、経年的なモニタリング体制を確保するのは容易ではない。分布拡大やCSF(豚熱)の感染拡大が緊急の課題となっている現状においては、モニタリングデータの蓄積が十分でない地域においても適用可能な、空間的な生息状況の推定手法の確立が求められる。
そこで、本研究では単年度で収集可能なデータから個体密度の空間分布を推定することを目的とし、5kmメッシュ単位での兵庫県のシカ・イノシシの生息密度分布の推定を行った。相対密度の空間分布を把握するためのデータは2018年度に収集された、出猟カレンダー調査に基づく狩猟時の努力量あたりの目撃数(SPUE)および捕獲数(CPUE)、県が毎年モニタリングを実施しているシカ糞塊密度、シカ糞塊密度調査の際に収集したイノシシの掘り起こし観測数を用いた。絶対密度としては、県内11地点で実施した自動撮影カメラの情報を用いてRESTモデルによる推定を行った。これらの絶対・相対密度指標の観測を統合したモデルによる推定の結果、Harvest-based estimationによる推定が得られているシカについて、既存の推定結果と概ね一致した。


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