| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-386  (Poster presentation)

福島県の避難指示解除後営農再開水田における赤トンボ類の自動撮影調査の試み
Camera trapping for monitoring Sympetrum dragonflies at paddy fields after the lifting of evacuation order in Fukushima

*吉岡明良(国立環境研究所), 松木伸浩(福島農総セ), 三田村敏正(福島農総セ), 遠藤わか菜(福島農総セ), 清水明(なし), 大内博文(国立環境研究所), 小熊宏之(国立環境研究所), 深澤圭太(国立環境研究所), 熊田那央(国立環境研究所), 神宮翔真(筑波大学), JOJaeick(国立環境研究所), 田渕研(農研機構東北農研)
*Akira YOSHIOKA(NIES), Nobuhiro MATSUKI(Fukushima Agri. Tech. Center), Toshimasa MITAMURA(Fukushima Agri. Tech. Center), Wakana ENDO(Fukushima Agri. Tech. Center), Akira SHIMIZU(Freelance), hirofumi OUCHI(NIES), Hiroyuki OGUMA(NIES), Keita FUKASAWA(NIES), Nao KUMADA(NIES), Shoma JINGU(Univ. Tsukuba), Jaeick JO(NIES), Ken TABUCHI(TARC/NARO)

最近、原発事故による避難指示が大幅に解除されたことに伴い福島県で稲作の再開が進みつつあるが、そのような営農再開水田における生物多様性の状態はまだ十分に評価されていない。演者らは、そのような水田で重要な環境指標種であるアキアカネ等の赤トンボ類を省力的に調査することをめざして自動撮影装置を開発した。この自動撮影装置は、棒にとまったトンボの影を検出するものであり、安価で消費電力が少ないセンサー機器を市販のカメラに接続することで比較的容易に作成できることから、多地点でのモニタリング調査にも適していることが期待されるものである。しかし、自動撮影によって定量的に赤トンボ類を調査できるのか、また、調査員による見取り調査等の従来の手法と一致した結果が得られるのかは検討する必要がある。
演者らは2018年及び2019年の秋期に約2ヶ月の間、営農再開水田を含む5地区(2019年は6地区)の水田に各地区3台ずつ自動撮影装置を設置した。また、見取り調査による赤トンボ類の密度調査も実施した。その結果、装置には様々な改善すべき点が発見されたものの、地区毎の赤トンボ類の合計自動撮影枚数と見取り調査による赤トンボ類密度には有意な正の相関がみられた。ただし、自動撮影枚数を適切な密度指標と判断するには有効な撮影期間によって標準化した上で評価するのが望ましく、どのように「有効な撮影期間」を定義するかは今後の課題と言える。


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