| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-404  (Poster presentation)

世代の異なる三団体の協働による自然保護活動
Nature conservation activities by different generations collaboration of three groups

*Rintaro TANIGUCH, Kazuya MINE, Takuya SHINGYOKU(Network of fish and children)

三重県の中北部に位置する亀山市は,総面積が191,04平方キロメートル,総人口が49,718人(令和2年1月1日現在)の市である。市の指標となる淡水魚を例にとると、河川の上流域では国指定の天然記念物であるネコギギ、ため池や水路ではヤリタナゴ、カワバタモロコ、ホトケドジョウなどの希少種が確認されている。しかし、これらのいずれの種も、開発による生息環境の変化や外来種の影響を受けた結果、亀山市内では生息地点、個体数ともに減少している。
一方、身近な自然の消失や社会環境の変化により、子どもが自然に触れる機会は年々減少している。豊かな自然、そこから生まれる自然と人との関わりや文化は、かつては当たり前のように存在したが、現状に対して何も手を打たない場合、いずれ失われていくと考えられる。私たちはこのような課題を少しでも打開すべく、必要な団体・機関と連携をはかりながら活動を行っている。
市内には、70代が中心の「亀山の自然環境を愛する会」、50代が中心の「水辺づくりの会 鈴鹿川のうお座」、10~30代が中心の「魚と子どものネットワーク」が水辺の保全活動を行っている。多世代で1団体を構成するのではなく、日頃はそれぞれに世代を生かした活動をしながら、主要な行事は相互に連携・補完することで、より多様で効果的な活動ができるようになった。このような協力関係が評価され、2019年3月には、日本自然保護協会による「日本自然保護大賞2019」教育普及部門の大賞を受賞した。
連携が継続している要因としては、メンバーそれぞれが「どの団体が主催した」、「誰のフィールド」というような考え方を捨て、「淡水魚のためになるか」、「子どものためになるか」という判断基準で取り組んでおり、お互いにそれぞれの役割を尊重し合っている。どこの組織でも世代交代は避けられないが、世代が代わっても取り組みが継続できるよう、活動の輪を広げ、次世代を育成することに今後も力を入れていきたい。


日本生態学会