| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-PC-411  (Poster presentation)

高校生の外来種に関する認識
Japanese high school students' recognition about invasive species

*山野井貴浩, 山内恵里(白鴎大学)
*Takahiro YAMANOI, Eri YAMAUCHI(Hakuoh Univ.)

 現行の学習指導要領(文部科学省2009)に基づく高等学校の理科教育では、約9割の生徒が履修する「生物基礎」において、「生態系のバランスについて理解し、生態系の保全の重要性を認識すること」を目指し、外来種に関する内容が扱われている。しかしながら、教科書の本文での取り扱いは2ページ程度であり、探究活動としての取扱いも3ページ程度である。また、取り扱われている外来種もオオクチバスなど特定の生物に偏っている.先行研究においても、高校生の外来種の認識は外来動物に偏っているなど、高等学校における外来種教育の複数の問題点が指摘されている。
 外来種問題は理科教育以外にもTVなどを中心にメディアにおいても取り扱われている。そのため、高等学校での学習の前に、メディアによって「外来種は悪い生物である」というイメージが形成されている可能性がある。
 そこで本研究は、メディアの視聴や高等学校の理科教育を経て、外来種に関してどのような認識を有しているかを明らかにするため、「生物基礎」における外来種の内容を学習済みと考えられる高校2年生613名を対象に認識調査を行った。質問内容は「外来種に関するTV番組の視聴の状況」「外来種の定義の理解」「外来種を悪い存在と思うか」「外来種をかわいそうと思うか」「外来種被害予防三原則の理解」の5項目とした。
 パス解析によって上記の5項目の関係を分析した結果、「外来種に関するTV番組の視聴によって悪者のイメージが高まり、それによって外来種は捨てない・持ち込まないの意識が高まる」、「外来種はかわいそうと感じると悪者のイメージが下がり、それによって捨てない・持ち込まないの意識が低下する」、「外来種の定義の理解が高まると悪者としてのイメージが高まり、それによって外来種は捨てない・持ち込まないの意識が高まる」といった因果関係が確認された。


日本生態学会