| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-PC-425 (Poster presentation)
沖縄県は、希少種や固有種が多く生息するやんばる地域におけるフイリマングースの在来生態系への影響懸念から2000年よりマングース対策事業を実施している。その後、捕獲率の向上を期待し2011年より探索犬を導入した。探索犬導入がマングース対策事業にどのように貢献しているか明らかにされていないため、本調査では探索犬の作業効率等を算出し、ワナによる捕獲と比較する。沖縄県環境部自然保護課が有するマングース対策事業資料から、探索犬導入初期(2013年度)、中期(2015年度)、後期(2017年度)における第一北上防止柵以北の作業データを対象とした。2013年度から2017年度にかけて筒ワナ捕獲率(8人工8日)は10分の1に、探索犬による捕獲(貢献)率は3分の1に減少していたが、いずれの年度とも探索犬による捕獲(貢献)率が高かった。捕獲されたマングース個体の特徴として、筒ワナで亜成獣、探索犬で成獣メスが多かった。CPUE(Catch per unit effort)に有意な増減は認められないが、探索犬のマングース反応数は減少していた。1日当たりの作業(探索)距離は、2013年度から2017年度にかけて筒ワナ+6%、探索犬+33%だった。ワナ設置範囲を示すメッシュ(1メッシュ=1.3×0.9km)数は年度に伴い減少しているだけでなく、CPUEも減少していることから調査対象エリアのマングースは低密度化している。マングースが低密度化した調査対象地域においても探索犬は捕獲(貢献)率が筒ワナよりも高く、成獣メスの捕獲(貢献)数が多かったことから捕獲事業において探索犬導入は有用であったと考えられる。今後は探索犬としての個体ごとの活動(経験)年数と作業効率の関係性やその他環境要因などについて引き続き調査していく。