| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-07 (Poster presentation)
イタセンパラ(板鮮腹)は、1974年に国の天然記念物に指定された淡水魚である。本校生物部は、同年に木曽川中流域でイタセンパラを発見し、生態調査や生息地の保全等の保護活動を始めたが、護岸の改修工事や堰の建設、人々の生活様式の変化等で河岸の樹林化がすすみ、河川環境も大きく変化して生息地が減少した。また、オオクチバス等の外来魚による捕食や競合もあり、発見から約10年間で生息数は激減し、1995年には絶滅したと考えられた。しかし、2005年に木曽川中流域で再発見され、国や県、有識者を中心に地域で保護活動が始まり、2015年2月には、一宮市の玉ノ井地区に人工ワンドが完成した。私たちは、イタセンパラを校内で飼育・展示し、「保護につながる活動」の3本柱を決め、保護活動を始めた。私たちは、地域の人たちと協力して、保護・保全活動をおこない、木曽川のイタセンパラを「地域の宝」にしたいと考えている。
【イタセンパラの保護につながる活動】
1本目の柱:調査・研究と学習会への参加
イタセンパラの生態や特徴については、岐阜県水産研究所等の生息域外で保全活動をおこなっている4施設を訪問して学ぶ。木曽川や地域の歴史については、歴史民俗資料館等で調べる。また、魚類や二枚貝の殻の調査をおこない、木曽川のイタセンパラが、短期間で激減した原因についても調べる。
2本目の柱:アンケート調査と広報活動
地域のイベント等で、イタセンパラの認知度に関するアンケート調査を実施し、環境省制作のクリアファイルや本校制作の缶バッジ等を配布する。発表大会等では、ステージ発表やポスター発表、パネル展示による広報活動を実施する。
3本目の柱:生息地である木曽川のワンドの保全活動
総合実務部員により、一宮市内の人工ワンド周辺の除草・清掃活動を月に一回実施、
平成29年度(43名)と30年度(55名)は、5月に校内ボランティアを募って
保全活動を実施した。