| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-09  (Poster presentation)

チャコウラナメクジによるキノコ胞子の運搬能力について
Studying the viability of mushroom spores collected from Ambigolimax valentianus feces

*古家岳志, 藤居虹輝, 船岡千愛(兵庫県立加古川東高校)
*Takeshi FURUIE, Koki FUJII, Chia FUNAOKA(Kakogawa Higashi High School)

  ヤマナメクジの排泄物に含まれるキノコ胞子の発芽率は、ヤマナメクジを介さずに胞子を発芽させた場合よりも高く、ヤマナメクジにキノコ胞子の運搬能力があることが、先行研究で明らかになっている。本研究では、チャコウラナメクジにも同様にキノコ胞子の運搬能力があると仮定し、研究を行った。
  まず、チャコウラナメクジの排泄物からもキノコ胞子が発芽することを確認するために実験を行った。研究を行うにあたって、シロハツ、チチアワタケの2種類のキノコを野外で採取し、1日絶食させたチャコウラナメクジに、それぞれのキノコを与えた。翌日、排泄物を採集し、蒸留水を用いてホモジナイズした。寒天平板培地にホモジナイズ液を滴下し、インキュベーターで1か月間培養した。比較として、飼育時にチャコウラナメクジに与えている魚用の餌を与えた場合の排泄物のホモジナイズ液を同様に、また、実験で使用したものと同一個体のキノコの子実層の一部を寒天平板培地に直接接種法で培養した。その結果、シロハツ、チチアワタケともにホモジナイズ液からなんらかの菌糸が確認できたが、比較用の魚用の餌を与えた場合のホモジナイズ液、直接接種法を用いた培地ともに菌糸は確認されなかった。
  子実層を直接接種法で培養した時より、排泄物を介して培養した方が発芽が良かった理由を私達は胞子が腸管内で発芽しやすい状態になると考えた。そこで現在、腸管の通り抜ける速度が関係していると予想して実体顕微鏡を用いた追加の実験を行っている。
 今後の方針として、ナメクジは苔も食害するとされているので、ナメクジの苔の胞子の運搬能力の研究も行いたいと考えている。


日本生態学会