| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-11 (Poster presentation)
【序論】私は小学生の頃からオタマジャクシを野外で採集し、飼育、観察してきた。2017年春、アズマヒキガエルが庭のビオトープに産卵した。なるべく自然な状態で育つのが良いと考え、ビオトープのプランクトンを餌にして育って欲しいと思った。ふ化したオタマジャクシに餌を与えずにいたところ、野生のオタマジャクシが子ガエル(上陸)になる頃になっても脚が生えず、数が減り始めた。文献で調査したところ、脚が生える頃になると動物質の餌が必要だと分かった。そこで、オタマジャクシの成長に寄与する餌の種類を知りたいと思い、与える餌を分けることでどのような成長の違いが見られるか実験してみることにした。また、上陸後の個体を暫く飼育して餌の違いにより生存数に差があるか観察した。
【研究方法】4種類の水槽(A,B,C,D)を用意し、それぞれに別々の餌を与えた。A水槽に動物性蛋白質、B水槽に動物性蛋白質+植物性蛋白質+ビタミン等、C水槽に植物質、D水槽に植物性蛋白質の餌を与えた。
【研究結果】子ガエルの平均の大きさは動物性蛋白質のみを与えた水槽が一番大きかった。子ガエルになるまでの平均日数は、餌の違いにより差があり、蛋白質及びそれ以外の栄養素を混ぜた餌を与えた水槽が一番早く、植物性蛋白質の餌だけと動物性蛋白質の餌だけとでは大きな差はないことも分かった。個体が子ガエルに成長する確率は、蛋白質及びそれ以外の栄養素を混ぜた餌を与えた水槽が高かったが、最終的に生き残った数は、餌による差が見られなかった。
【考察・結論】餌の違いによる成長の差は存在する。動物性蛋白質には大きな子ガエルを育てるはたらきがある。蛋白質及びそれ以外の栄養素を混ぜた餌を与えたオタマジャクシは、子ガエルに成長するまでの期間が短くなり、上陸数も多い。植物質の餌を与えた水槽の個体が全て死亡したことは、水質の問題も考えられ、生育環境も成長の大切な要素と考える。