| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨 ESJ67 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PH-13 (Poster presentation)
アメリカナミウズムシやアメリカツノウズムシは北米原産の外来生物であり,大阪府では淀川で確認されているが,石川では未だ確認されていない。また,日本国内での生態についての研究報告は未だない。そこで,2019年8月に石川で調査を行った結果,2種の外来ウズムシを確認した。そして,これらの生態を明らかにすることを目的に,特に生殖法に影響する条件に着目して研究を行った。ウズムシの生殖法には水温と栄養条件が影響すると予測した。2020年1月12日と2月8日に石川(川西大橋付近)において,水底の巨礫(拳大)3個の裏面に付着する2種の外来ウズムシの生息状況について調査した。1月12日に採集した2種の外来ウズムシを持ち帰り,水温20℃,4通りの栄養条件に置き定期的に観察した。牛のレバー片を与え,ウズムシが離れるまで摂餌させ,その頻度は7日に2回,7日に1回,14日に1回,28日に1回の4通りとした。1月12日の調査では水温9℃,両種ともに頭部がないなど不完全な個体が一部に見られ,アメリカナミウズムシでは卵が3個確認された。2月8日では水温6℃,両種ともに個体数が減少し,不完全な個体や卵は全く見られなかった。飼育条件下の給餌頻度7日に2回,7日に1回は盛んに無性生殖を行った。それはトカゲの自切のように尾部の一部を切り離すように行い,咽頭などの主要な器官は頭部側に残された。飼育下での観察結果から,野外で見られた不完全な個体は無性生殖によって生じたものと考えられ,野外調査の結果から冬季にも無性生殖と有性生殖のどちらも行っていることがわかった。また,水温20℃での無性生殖は栄養条件が影響することがわかった。まだ研究を開始したばかりであり,今後1年間野外調査は続け,季節変化と生殖法との関係を明確にしたい。また,いずれの巨礫からも2種が確認されたことから,共存できる種間関係についても関心をもって臨みたい。