| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-14  (Poster presentation)

共食いがオオイタサンショウウオの幼生の成長に及ぼす影響
Effect of Cannibalism on The Growth of Larval Oita Salamanders

*今泉俊佑, 仲町聡輝(大分舞鶴高等学校)
*shunsuke IMAIZUMI, toshiki NAKAMACHI(Oitamaizuru High school)

サンショウウオの幼生は、同種を餌として捕食する「共食い」を行うことが報告されている。私たちがオオイタサンショウウオの幼生を集団飼育すると容器内で共食いが起こり、幼生の個体数が減少した。幼生を観察すると、共食い個体は体が一回り大きくなっていた。そこで、共食いが幼生の成長に与える影響を明らかにすることを研究の目的し、オオイタサンショウウオの幼生を研究材料として飼育実験を行った。まず、アカムシ、レバー、オタマジャクシ、サンショウウオのいずれかを餌として7日に1回同量与える個別飼育実験を行うと、共食いをした個体の成長は、他の餌との間にあまり差が見られなかった。この実験では、飼育容器に入れた餌は同量であったが、共食いやオタマジャクシのような大きな餌は食べ残しが出たため、実際に摂取した餌の量が違ったことが原因であると考えた。そこで、与える餌の質量を実験グループ毎に等しく設定した集団飼育実験を考え、自然餌のみを与えたグループ、冷凍アカムシなどの人工餌のみを与えたグループ、共食いのみを行わせたグループの飼育実験を行った。その結果、共食いしたグループでは、自然餌や人工餌の場合と比べて、幼生の体重、全長、頭胴長、頭幅が大きく成長していた。共食いした個体がよく成長した原因は、同種の幼生を捕食することによって、幼生の成長に必要な成分を効率よく摂取することができたためだと考えた。頭幅が大きくなったのは、共食いする幼生を丸呑みするために口を大きく開く必要があるためだと考えた。また、頭幅は、共食いの頻度が高くなると大きくなったが、共食いの頻度が低くなるとその後小さくなることも分かった。。以上の結果から、サンショウウオの幼生は生息地で、他個体よりも早く成長した大きい幼生が、遅れて成長している小さい幼生を食べることでより大きな成体に変態し、生存競争を生き抜いていると考えた。


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