| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-16  (Poster presentation)

塩基配列解析を用いた貝類の同定
Identification of shellfish based on Nucleotide sequence analysis

*山谷拓巳, 大森識照, 塚田一輝, 小川忝展, 黒川悠馬, 杉浦英輝, 村田怜衣哉(豊丘高等学校)
*Takumi YAMATANI, Noriteru OMORI, Kazuki TUKADA, Kyousuke OGAWA, Yuuma KUROKAWA, Hideki SUGIURA, Reiya MURATA(Yutakagaoka H.S.)

干潟は多くの生物の生息場所になっている。我々はそれらの生物の働きに着目し、干潟環境を調査し干潟環境保全に貢献するため、2013年から愛知県豊橋市にある2箇所の干潟の定性調査と定量調査を実施してきた。その際、当部員がウミニナ-Batillaria multiformis-(以下Bm)とホソウミニナ-Batillaria cumingii-(以下Bc)の混同する事案が多数見受けられた。その結果正確な干潟の生物種や環境のデータが採取できないという問題が浮上した。我々がこの問題の解決の糸口と考えているのが塩基配列解析による貝類の判別である。この方法にはコストなど様々な問題点が存在するが同時にヒューマンエラーを根絶できるなどの大きな利点も存在する。問題点を解決し、正確なデータを得て干潟環境保全の足掛かりとするため、今回の研究を行った次第である。
大まかな実験手順としては、試料からPCR法によって増幅した特定の遺伝子をアガロースゲル電気泳動法で分離する。ゲル中のPCR産物を精製し、COIと16SrRNAについてシークエンシングを行った。この結果から上記の目的と系統樹の作成を目指す。
16SrRNAとCOIのいずれでも塩基配列解析によるBmとBcの同定に成功した点 2地点間で塩基配列に多型部分が表れた点(留意事項として検体数の少なさがあげられる) 個体間で塩基配列に多型部分が表れた点 配列の多様性の観点ではCOIが16SrRNAより優れている点の4点を今回の実験結果として得ることができた。
その中でも地点間で塩基多型が現れたことは大きな発見である。環境変化が与える塩基への影響をさらに掘り下げていきたい。
ただし、今回の実験は検体数が少ないため、再現性が低く信頼性や根拠にかけるため、今後はサンプル数を増やすことを優先していく。


日本生態学会