| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-26  (Poster presentation)

ニホンヤマビル(Haemadipsa japonica)の複数回吸血による忌避反応
The repellent reaction by multiple times blood-sucking of Haemadipsa japonica

*Mami ARAI(Seikei High School), Miwa KATO(Seikei High School), Momoha FUJITA(Seikei High School), Sora MATSUO(Seikei High School), Taichi NISHIZAWA(Seikei High School), Naoe SATO(Seikei Biology Labo.)

<目的>
ニホンヤマビル(Haemadipsa japonica)は1回目の吸血後、2回目も同じ個体に対して吸血を行った場合、動物体内で作られた抗体により死亡すると言われている。神奈川県清川村にて採集したヤマビルと実験動物体を用い、2回目の吸血後に死亡するか否かを検証することを目的とした。
<方法>
神奈川県清川村にてヤマビルを採集し、24度の環境下で2週間以上絶食状態にした後、20個体をヒトに、20個体をミニウサギに吸血させた。そして、5日後、10日後、15日後、20日後、25日後にそれぞれ2個体ずつ再度吸血させ、吸血後の様子を観察した。
<結果>
1回目の吸血から10日以降に再度吸血すると、2度目の吸血から5日後以降に死亡が確認された。少しずつ体表が溶け体表の突起がなくなり、2度目の吸血から約7日後程度で体が溶解した。しかし、今回の結果から全ての個体が死亡しないことも分かった。
<考察>
ヤマビルは再度同じ動物個体に吸血すると弱まり、死亡する確率が高まる事がわかった。ヤマビルが生息する環境で哺乳動物等の個体数が減少した場合に、ヤマビルは再度同じ動物体から吸血する確率が高まる。吸血される哺乳動物の個体数の増減に伴い、ヤマビル自ら個体数を調節し、個体群の持続的維持に繋がっていると考えられる。


日本生態学会