| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-43  (Poster presentation)

チャネルキャットフィッシュの個体サイズと食性の季節変動
Seazonal variation of individual size and the eating habit of chanel cat fish

*柳沼拓茂, 井副和喜, 三瓶晃太, 小川拓真, 大塚真喜, 高橋慧, 松井陸(国分寺高校)
*Takumo YAGINUMA, Kazuki IZOE, Kouta MIKAME, Takuma OGAWA, Masaki OOTUKA, Kei TAKAHASHI, Riku MATSUI(kokubunjikoukou)

 茨城県霞ケ浦ではチャネルキャットフィッシュ(Ictalurus punctatus)によるワカサギなどの食害が多い。そのチャネルキャットフィッシュを減少させるため食性を把握しようと調査を始めた。方法としては、一晩網をかけて採集し、持ち帰って解剖して、胃の内容物や体長、腸の長さ、腸の内容物、性別について調べた。一般に植物食の生物は動物食のものと比較して体長に対する腸の長さが長い傾向にある。計測したところ腸内に動物質のものが存在していた個体群の回帰式は決定係数R20.88、藻類が入っていた個体の回帰式は0.78と高い数値を示しており両者の違いが顕著なことがわかった。
 また消化管内に藻類が存在していた個体は魚が存在していた個体よりも体長に対する消化管の長さの比が平均で0.5ほど異なる。なお両者をt検定すると3.42e-11となっており両者が異なる集団であることが統計的にも証明された。季節ごとに個体の腸内容物に差が出るとも考えていたが、特に顕著な傾向は見られなく、その点は少し予想外だった。従って、藻類など植物性のものは、消化・吸収がしづらいため、これらを主に食す個体は腸が長くなっていると考えられる。季節ごとに差ができなかったのは主な腸内容物が、1年を通して霞ヶ浦に
生息している生物だったからだと考えられる。たまたまその時は藻類が入っていたのか、それとも藻類を食べている系統がいるのか、食性が違うチャネルキャットフィッシュの個体間
の顕著な外見の変化があるか、などを確認していくことで外来種であるチャネルキャットフィッシュの減少に繋がっていくのではないかと考えている。


日本生態学会