| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-50  (Poster presentation)

水草の色と適応
Difference and adaptation of color of aquatic plants.

*蒔田詩苑, 溝口陽太, 三輪唯人(静岡北高等学校)
*Shion MAKITA, Yota MIZOGUCHI, Yuito MIWA(Shizuoka Kita High School)

水生植物は、私たちが住む日本の伝統の一つである「和食」に、よく用いられる食材だ。水生植物はミネラルなどの栄養素が豊富なため、料理やサプリメントなどに含まれている。近年では、化粧品やヘアオイルなどにも用いられ注目されている。私たちは、そんな水生植物の一種である、水草の色の変化と適応に着目し本研究を行った。
水草が体の色を変化させる意図や条件などを明確するために、一般的にアクアリウムで用いられる水草4種類(ハイグロフィラロザエネルピス、ルドSPスーパーレッド、ロタラインジカ、ルドヴィジアークリーナ)を使用し、「光の明るさの条件と水草の変化」と「光の色による条件と水草の変化」について実験を行った。
実験1では、光量の違うLED電球(810㏐・1600㏐)の2種類を用いて2週間観察を行った。810㏐で照射した水草は赤色から明るい緑色へと変化した。しかし、所々に赤い葉が観察できた。1600㏐で照射した水草は赤色から濃い緑色へと変化し、赤い葉は観察できなくなった。成長は810㏐に比べ僅かに見られた。
実験2では、ライトの光量を810㏐で統一し、周囲を青色のセロハン・黄色のセロハンで覆った水槽の2種類を準備し、届く光の色を変えた。しかし、実験1と比較しても色の変化、伸長成長に違いは見られなかった。
実験2の結果を受けて、他の色では光の吸収に差が出るのかと考え、緑色の水草にとって吸収しにくい緑色のセロハンで水槽を覆い同様の条件で実験を行った。緑色のセロハンで実験を行ったが水草が枯れてしまったことより、黄色・青色は光合成に利用できるが、緑色は吸収できないことを確認できた。
今後は、明るさ・色の条件を確立し、水草の色の変化を解明していきたい。また、成長過程で葉における吸光度測定を行い、光合成色素の割合の変化を測定し、光の色と水草の変化について新たな実験を行い、光合成色素の変化と適応の仕方を分析し、効率的に育成する方法を検討していきたい。


日本生態学会