| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-56  (Poster presentation)

小葉のふぎれのメカニズムの解明
Study on the form of a leaf

*東瑠夏, 髙橋瀬名(清心女子高等学校)
*Runa AZUMA, Sena TAKAHASHI(SEISHIN Girls' High School)

インドネシアやオーストラリア原産で水辺や湿地に分布するデンジソウ科の植物であるフギレデンジソウは4枚の小葉を持ち、各小葉に切れ込みを持つ。私達はフギレデンジソウの小葉の形態形成において、先端に切れ込みが生じ、分岐していく現象を「ふぎれる」と呼んでいる。このふぎれる仕組みについて植物ホルモンの関与、環境ストレスに注目し、自然発生的にふぎれが生じるメカニズムを解明するという目的で研究を進めている。
まず、植物ホルモンの添加による葉の切れ込みの影響についての実験を行った。ビーカーに10-3㏖/L、10-5㏖/L、10-7㏖/Lのオーキシン溶液を300㎖入れ、その中に土を落としたデンジソウ株を入れた。比較対象として蒸留水でも同じ実験を行った。一ヶ月後に新しく発生した小葉のふぎれの程度(=小葉の大きさに対する葉の切れ込みの長さ)を測定した。この実験から、蒸留水に比べオーキシンを加えた方が小葉の大きさが全体的に小さくなることがわかった。また、オーキシン溶液の濃度が低い方がふぎれが大きくなることがわかった。
次に、養分の添加(リン酸)の添加による小葉の切れ込みへの影響について注目した。ビーカーにpH4のリン酸溶液に土を落としたフギレデンジソウ株を入れ、約一ヶ月後新しく発生した小葉のふぎれの程度を測定した。比較対象として蒸留水でも同じように行った。この実験から、リン酸を加えると小葉は大きくなるものの、ふぎれの程度には違いが見られなかった。
現在、アクアポリン遺伝子の発現量とふぎれの影響を考察するため、葉の様々な部位におけるアクアポリン遺伝子の発現量を比較している。また、細胞分裂によるふぎれへの影響についても研究を進めている。


日本生態学会