| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-58  (Poster presentation)

狭山丘陵の雑木林における菌根量の季節変化
Seasonal change in the amount of mycorrhiza at satoyama forest in Sayama hills

*黒羽秀磨, 秋山瑛介, 石田麟太郎, 弓削吏久(海城中学高等学校)
*Shuma KUROHA, Eisuke AKIYAMA, Rintaro ISHIDA, Riku YUGE(Kaijo school)

近年、里山が提供する生態系サービスに注目が集まっており、里山再生の一環として関東の雑木林では、景観やそこに生息・生育する生物を保全する活動が行われている。その中で外生菌根は、森林を構成する樹々の成長に重要な役割を担っている。しかし、雑木林での外生菌根の量的な変動に関する研究は少ない。そこで、本研究では、森林の遷移の進行程度や森林管理の違いによる菌根量の変化や雑木林の季節による菌根量の変化を明らかにすることを目的とした。
 埼玉県所沢市、狭山丘陵に位置する萌芽再生林と、コナラを主体とした雑木林を調査地点として研究を行った。両調査地点から縦10㎝×横10㎝×深さ5㎝の土壌を10サンプルずつ、2018年11月から2019年11月までの13ヶ月の間、月に一度採取した。その後、その土壌に含まれる細根を水で洗い出し、外生菌根が感染している根としていない根により分け、それぞれの根を0.5㎝角の方眼紙の上に置かれたシャーレに入れ、その方眼の線と細根との交点を数えて(格子交点法)、感染率(菌根が感染した細根数/全体の細根量)を求めた。
 その結果、萌芽再生林の方が全体的な傾向として菌根の感染率が高いということがわかった。また、季節的な変化として、夏から秋にかけて感染率は上がり、冬に急激に下がることがわかった。そして、これらの感染率の変化の要因について有機物量、含水量、地温、気温、降水量の5つの観点から考察を行った。本学会ではこの考察の結果を発表する。


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