| 要旨トップ | ESJ67 自由集会 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W22  3月7日 18:45-20:15 Room H

道具としての「形態測定学」:生物学と美学の交差点
Morphometrics as a tool: intersection between biological and aesthetic perspectives

高橋一男(岡山大学大学院環境生命学研究科), 立田晴記(琉球大学)
Kazuo TAKAHASHI(Graduate School of Environmental and Life Sciences, Okayama University), Haruki TATSUTA(University of the Ryukyus)

形態測定学は対象物の形状とその変異を定量化する方法論を取り扱う研究分野を指し、その手法は幅広い研究分野で活用されている。進化生物学分野においては、生物の形態変異を定量化する事で、形態進化の歴史やその過程で働いた淘汰の種類や方向性の評価が行われてきた。その一方で、考古学分野においては、文化的人工物の形態変異を定量化する事で、意匠の進化の歴史や、その文化的背景の評価が行われてきた。園芸植物の形態進化は、両分野の中間にあたり、人間の美的価値観に基づいて育種された園芸植物の形態進化は、発生学的な拘束と人間の美的価値観に基づいた淘汰との相互作用によって引き起こされたと考えられる。立体的で複雑な構造を持つ花形態の定量化は、形態測定学的な難問であり、さらに美学的価値観に基づいた形態評価を行うためには、学際的なアプローチが必要となる。
 本集会では、理論形態モデルによるアプローチで、美的価値観に基づいて育種されたスイレンの花形態解析に挑む演者を招き、幾何学的形態測定だけでは捉えきれない形態の評価方法についてご講演を頂く。複雑な3次元構造を持つ対象についての形態評価方法や、人の感性の影響の評価方法について議論したい。

コメンテーター:三中信宏(農研機構)
「形態美は測ることができるのか:アルブレヒト・デューラーから感性工学への道のり」

[W22-1]
かたちのセマンティクス ―「モネのスイレン」の花形態の研究 ― *切江志龍(東大・農学生命), 岩田洋佳(東大・農学生命), 岩崎秀雄(早大・先進理工), Christophe PRADAL(CIRAD, INRIA), Pascal NEVEU(INRA), 野下浩司(九大・理学)
Semantics for biological forms: A morphological study on Monet's water lilies *Shiryu KIRIE(Univ. Tokyo), Hiroyoshi IWATA(Univ. Tokyo), Hideo IWASAKI(Waseda Univ.), Christophe PRADAL(CIRAD, INRIA), Pascal NEVEU(INRA), Koji NOSHITA(Kyushu Univ.)


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