| 要旨トップ | 受賞講演 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


第8回 日本生態学会奨励賞(鈴木賞)/The 8th Suzuki Award

若手理論屋として眺めてきた 多様性と生態学
Overview of diversity and ecology from a budding theoretician

入谷 亮介(理化学研究所・数理創造プログラム)
Ryosuke Iritani(RIKEN iTHEMS)

数理モデルは、対象とする現象を理解するためのツールであり、生態学におけるその有用性は論を俟たない。私は、研究を始めた修士の学生のころ、数理モデルの解析こそが自身の最大の強みであると信じ、「難解な数理解析の実施による理論構築ができる研究者」を目指していた。しかし、さまざまな苦労・挫折・楽しみを通じて、「いきものが好き」という自身の根本的な研究モチベーションを顧みた結果、「自然史的な現象の(原生パタンの)説明や(将来パタンの)予測による、生物多様性の理解を目指す」という方向にシフトさせた。これにより、実証研究者との意思疎通を通じた共同研究に自立的に取り組む、という姿勢こそを自身の軸に据えることにした。
本講演ではまず、そうした共同研究を通じて明らかにしてきた、宿主・寄生者の進化、宿主操作動態、植物の繁殖生態学、性比と血縁淘汰などの結果やその背景を、簡潔に説明する。続いて、自身が自立的にも共同的にも研究を続けてきてこその経験(とくに国際経験)を共有したい。そして、今後の目標として、どのような内容の研究をする、どのような研究者になりたいか、を話す。最後に、生態学(会)という大きな科学者集団に対して、自身がどのように貢献してきたか、その展望も含め、述べる。


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