| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(口頭発表) A02-05 (Oral presentation)
モンゴル北部には森林ステップエコトーンが発達する。しかし,その生態学的な特徴は必ずしも定量されているわけではない。本研究ではモンゴル北東地域の75年生シベリアカラマツ林に40m四方の固定試験区を設け,バイオマスとNPPを算出し,中央シベリア北部,中央シベリア南部,新疆ウイグル自治区と比較した。林分の高木層はシベリアカラマツ(Larix sibirica,本数密度362本/ha)から構成され,小型のヨーロッパシラカンバ(Betula platyphylla,本数密度156本/ha)が混生した。2014年,2017年,および2019年にすべての個体の胸高直径を計測した。2017年の樹高は,2014年と2019年に計測した樹高から補完した。2016年と2017にはマイマイガによる葉の食害が生じた。また,調査期間を通じて枯死した個体は,甲虫による食害を受けた1個体だけであった。モンゴルにおいて得られているアロメトリー式によりバイオマス推定を行った。バイオマスは102 ton/haであり,他の地域と大差なかった。一方,NPPは3.2 ton/ha/yrとなり中央シベリア北部と同程度であるが,同緯度の新疆ウイグル自治区より低かった。地域間でNPPが葉量と比例関係にあることから,本調査地の低いNPPは少ない葉量(2 ton/ha)と関係していると考えられた。