| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) A03-12  (Oral presentation)

亜熱帯林・温帯林における落葉の漂白部・非漂白部のリグニン分解酵素活性の比較
Comparison of ligninolytic enzyme activities between bleached and nonbleached areas of leaf litter in subtropical and temperate forests

*田渕航平(同志社大学大学院), 松岡俊将(兵庫県立大学大学院), 長谷川元洋(同志社大学), 大園享司(同志社大学)
*Kohei TABUCHI(Doshisha University), Shunsuke MATSUOKA(University of Hyogo), Motohiro HASEGAWA(Doshisha Univ.), Takashi OSONO(Doshisha Univ.)

リグニン分解菌は構造性の有機物であるリグニンを強力に分解できる能力を持つため森林生態系の物質循環において中心的な役割を担っている.リグニンとセルロースは落葉重量の60〜80%を占め,特にリグニンはセルロースを覆うように共有結合しているため,先にリグニンの分解を行う必要がある.しかし,落葉分解菌の中でもリグニン分解活性を有する菌類は特定の種のみに限られる.リグニンの分解に関わる酵素はリグニナーゼと総称され,ラッカーゼ,マンガンペルオキシダーゼなどが知られている.過去の研究ではリグニン分解菌の菌株を用いてリグニン分解酵素活性が測定され,分類群ごとで機能の多様性が異なることが示された.しかし, 菌株を用いてリグニン分解酵素活性を測定する方法では野外下でのリグニン分解酵素活性は評価できない.本研究では,選択的にリグニンが分解されることで生じる落葉の漂白に注目し,野外の落葉の漂白部・非漂白部から直接リグニン分解酵素活性の測定を行い評価することを目的とした.サンプルとして,沖縄県辺土名(亜熱帯林),大阪府交野(温帯林),長野県菅平(温帯林)の3地点でそれぞれ7,1,2樹種の落葉を採集した.リグニン分解酵素活性は,Baldrian et al.(2006)の手順を改変し,ラッカーゼ活性,マンガンペルオキシダーゼ活性の測定を行った.各樹種の落葉の漂白部・非漂白部でリグニン分解酵素活性が異なるのかを評価することを試みた.


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