| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(口頭発表) B02-06 (Oral presentation)
生物の多くはその生涯において、複数回交尾することが知られている。その交尾と交尾の間の期間(交尾間隔)を不応期と呼ぶ。イモゾウムシ(Euscepes postfasciatus)は、雄が射精物を用いて雌に長い交尾間隔(不応期)を導き、雌の再交尾を抑制していることが知られている。その不応期を測定したところ、1~49日(N=103)と大きくばらついていた。そこで、このばらつきを生み出す原因について、雄(射精物の量・質、体サイズなど)、雌(射精物分解能力、体サイズなど)、雌雄の交互作用が考えられるが、詳しくはわかっていない。そこで、未交尾の雌雄それぞれにIDを付け、体サイズを測定、交尾させた後、翌日から雌には別の交尾相手(未交尾雄)を投入し、再交尾するまでの期間(1回目の不応期)を測定した。同様の手順で、2回目の不応期を測定した。また、雄には別の未交尾雌(2頭目)を与え、交尾させた後、その雌の不応期を測定した。不応期の長さと雌雄の体サイズの関係を調べるとともに、雌は1回目と2回目の不応期、雄の場合に1頭目と2頭目の交尾相手の不応期の関係について調べた。その結果、雄において1頭目と2頭目の交尾相手の不応期に有意な相関はなかった。一方で、雌において1回目と2回目の不応期に有意な正の相関が見られた。つまり、一貫して短い不応期を示す雌、長い不応期を示す雌といった、不応期に雌の興味深い特性があることが明らかとなった。不応期と雌雄体サイズの間には有意な関係は見られなかった。不応期に関する遺伝率、不応期の長さと適応度の関係の結果も加えて、不応期のバラツキについて議論する。