| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) B02-06  (Oral presentation)

イモゾウムシ雌の交尾間隔のクセが強いんじゃ 【B】
Females have a very particular habit of refractory period in West Indian sweet potato weevil. 【B】

*日室千尋(琉球産経(株), 沖縄県病害虫防除セ, 琉球大学), 本間淳(琉球産経(株), 沖縄県病害虫防除セ, 琉球大学), 池川雄亮(琉球産経(株), 沖縄県病害虫防除セ, 琉球大学), 熊野了州(帯広畜産大学)
*Chihiro HIMURO(Ryukyu Sankei Co., Ltd., Okinawa Pref. Plant Prot. C, Univ. of Ryukyus), Atsushi HONMA(Ryukyu Sankei Co., Ltd., Okinawa Pref. Plant Prot. C, Univ. of Ryukyus), Yusuke IKEGAWA(Ryukyu Sankei Co., Ltd., Okinawa Pref. Plant Prot. C, Univ. of Ryukyus), Norikuni KUMANO(Obihiro Univ. of AVM)

生物の多くはその生涯において、複数回交尾することが知られている。その交尾と交尾の間の期間(交尾間隔)を不応期と呼ぶ。イモゾウムシ(Euscepes postfasciatus)は、雄が射精物を用いて雌に長い交尾間隔(不応期)を導き、雌の再交尾を抑制していることが知られている。その不応期を測定したところ、1~49日(N=103)と大きくばらついていた。そこで、このばらつきを生み出す原因について、雄(射精物の量・質、体サイズなど)、雌(射精物分解能力、体サイズなど)、雌雄の交互作用が考えられるが、詳しくはわかっていない。そこで、未交尾の雌雄それぞれにIDを付け、体サイズを測定、交尾させた後、翌日から雌には別の交尾相手(未交尾雄)を投入し、再交尾するまでの期間(1回目の不応期)を測定した。同様の手順で、2回目の不応期を測定した。また、雄には別の未交尾雌(2頭目)を与え、交尾させた後、その雌の不応期を測定した。不応期の長さと雌雄の体サイズの関係を調べるとともに、雌は1回目と2回目の不応期、雄の場合に1頭目と2頭目の交尾相手の不応期の関係について調べた。その結果、雄において1頭目と2頭目の交尾相手の不応期に有意な相関はなかった。一方で、雌において1回目と2回目の不応期に有意な正の相関が見られた。つまり、一貫して短い不応期を示す雌、長い不応期を示す雌といった、不応期に雌の興味深い特性があることが明らかとなった。不応期と雌雄体サイズの間には有意な関係は見られなかった。不応期に関する遺伝率、不応期の長さと適応度の関係の結果も加えて、不応期のバラツキについて議論する。


日本生態学会