| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) C03-05  (Oral presentation)

釣り人の報告に基づく淀川におけるチャネルキャットフィッシュの分布と食性
Distribution and diet of non-native channel catfish in the Yodo River based on anglers' reports

*吉田誠(国立環境研・琵琶湖)
*Makoto A. YOSHIDA(NIES Lake Biwa Branch Office)

近年,琵琶湖・淀川水系において特定外来生物チャネルキャットフィッシュ Ictalurus punctatus の捕獲が相次いでおり,在来生態系への影響が懸念されている。しかし,水系全体での本種の分布の現状は不明で,河川における本種の食性に関する知見も少ない。そこで本研究では,水系内における本種の分布の動向を明らかにするため,釣り人を中心に広く情報提供を呼びかけ,直近の捕獲状況を整理した。加えて,捕獲後に個体が解剖されていた場合にはその消化管内容物の情報も聞き取り,本種の食性把握を試みた。

2019年­から2020年にかけて,12名の釣り人から計194個体の捕獲情報が提供された。本種の捕獲地点は,滋賀県内の瀬田川(瀬田川洗堰の上・下流),京都府内の宇治川および木津川,大阪府内の淀川の計14地点におよび,本種が淀川水系の本流(瀬田川・宇治川・淀川)を中心に,水系内の上流から下流まで広く分布していることが明らかとなった。また,捕獲個体には当歳魚または1歳魚とみられる全長7.5 cmの個体も含まれ,水系内での本種の再生産が示唆された。捕獲後に解剖された51個体のうち48個体の消化管から,タニシ等の巻貝,陸生・水生昆虫,遊泳性・底生性の魚類,ハリガネムシ類,陸生植物や藻類などが見つかり,本種は河川の表層から底層まで幅広い深度帯に出現するさまざまな動植物を餌として利用していると考えられた。


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