| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨 ESJ68 Abstract |
一般講演(口頭発表) C03-06 (Oral presentation)
演者は釧路市の820m2の小さな池で2013年から2015年まで、成体以外に幼体も捕獲できるアナゴカゴ20個を5月中旬から11月初旬まで毎年設置してウチダザリガニを駆除し、2013年1205、2014年162、2015年35と捕獲個体数を大幅に減少させることに成功した。2016年から2019年まで6月から9月にかけて週間隔ワナ同数毎年8回以上捕獲を行ったところ、捕獲個体数は2017年1、2018年2、2019年7と極めて少なく、2020年は6月から9月に毎週16回捕獲を試みたにもかかわらず、全く捕獲されなくなった。
2013年の捕獲個体について各月雌雄ごとのコホート解析を行い、サイズの小さい順にグループI、II、II、IVを認めた。5月はグループII、グループIIIが、6月はグループIIとIII以外に小型のグループIが認められ、7月はグループI、II、III以外にそれより大型のグループIVも認められた。8月にはグループIIIやIVが消滅しグループIとIIのみが、9月10月はグループIのみが認められた。
ウチダザリガニは秋に交尾産卵後翌年まで抱卵する。春に孵化した個体は初夏に母体から離れ、2年から3年で成体になる。頭胸甲長10mm台は前年に孵化した個体、30mm前後は2年前に孵化した個体、40mm以上は3年以上前に孵化した個体と考えられる。このことからグループIは前年に孵化した集団、グループIIは2年前に孵化した集団、グループIIIは3年前に孵化した集団とみなすことができる。
2013年秋に池に残っていたウチダザリガニのほとんどは前年に孵化したグループIの集団と2013年に孵化した集団で、グループIの一部しか2014年に子孫を産出する可能性はなかった。2014年と2015年は、次世代産出に寄与する頭胸甲長30mm以上の成体もそれ以下の成体もごく少数しか捕獲されなかった。